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メンタリズムな恋…
第17章 先生、未来へ向かおうよ



幸之助のあの日の裏切りから私は自分の心を閉ざし警戒心が強まる。

河合教授はそれを見抜いていながら今日まで黙ったままだったはず…。


「僕がメンタリストである前にカウンセラーだという事はわかってるよね?」


当然の事だから臨床心理士の資格を教授が持ってる事はわかってる。

慎重に私が頷けば教授は私に一人用のカウチソファーに座るように促す。


「これを…。」


教授から出されたのは温かいハーブティー…。

どうやら私は今から教授の患者になるのだと苦笑いを教授に向ける。


さて…、どうしたものか?


まるで他人事のように今の自分の置かれた立場を冷静に考える。

教授は私は自信が無い学生だと思ってる。

それでも、それなりに優秀な学生をやって来たという自負はある。

ならば出来るだけ模範的解答でこの場をやり過ごすべきかと判断する。


「先に言っておくが…、今日は三好君の担当教授として話をするつもりはないよ。僕は1人の友人として君と話がしたいんだ。」


私の考えを見抜いたかのような口ぶりで教授が語りかけて来る。

これはメンタリズムによる誘導…。

前置きをする事で相手の心理を揺さぶり探ってる。

教授の話を素直に聞いてますという素振りを見せて、ゆっくりと頷く。


「僕が妻を亡くした事は知ってるよね?今の三好君はあの頃の僕とよく似てると感じる。」

「そんな…、教授の辛さに比べれば私なんか大した事ありません。」

「三好君は嘘が上手くなったね。」

「嘘…、ですか?」

「本当は辛い現実から逃げたくて今すぐにでも消えてしまいたい気分じゃないのかな?それほどまでに大和君が君に与えた影響は大きかった。メンタリストとしても1人の女性としても…。違うかな?」


図星…。

前の私なら狼狽える。

今の私は…。


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