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メンタリズムな恋…
第2章 先生、事件です



警部…。

なるほど…。

片桐さんは大卒のキャリアだ。

だから警視庁務めなのかと考えながら車を指定された場所へと移動する。

パトカーと何台かの警察関係者の車が停まってる。

マスコミらしい人達もチラホラと集まり始めてるのが畑側からも見えている。

奈々ちゃんの家は平屋造りで庭から直接畑に出る事が出来る。

今はその庭の方に警官や刑事らしき人が燧無(ひきりな)しに動き回ってる。


「さあ、先生…。」


車から降りますよ…。

と言うつもりの言葉が出て来ない。

だって彼はパジャマの様な灰色のスウェット姿にサンダルというどう見ても先生が一番の不審者に見えるという有り様だ。

ここで車を降りたら、うじゃうじゃと居る警察官に先生の方が奈々ちゃんの誘拐犯として逮捕されそうだと頭を抱える羽目になる。


「なんでそんな格好で出て来たんですか!?」


八つ当たり気味に先生に叫ぶ。


「なんでってラーメン食いに行くだけだったから。なのに君が勝手に事件に首を突っ込んだ。」


ブツブツと呟くように私に向かって文句を言う。


「それでも外に出るなら着替えるのが常識じゃないですかぁ…。」

「ラーメンを食うだけで?」


しつこいくらいにラーメンの話をしやがる。

今はラーメンの話は置いておけ…。

私の口端が苛立ちでピクピクとし始めた頃に車の窓が叩かれる。

モタモタと手動で窓を開ければ


「本庁の片桐です。先程お話をした大和さんの助手の三好さんですよね?」


と私に黒い手帳のIDを見せるサラリーマン風の男の人が話し掛けて来る。

私よりも少しだけ歳上の男の人…。

髪は短く刈り込まれ如何にもスポーツマンだったかのように体格の良い人だ。

しかも、何処かの先生とは違い高そうなスーツを着てかなりの爽やかな雰囲気を漂わせてる。


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