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メンタリズムな恋…
第2章 先生、事件です
「三好です。それで…、あの…、こちらが…。」
大和先生だと胸を張って言えない私が居る。
「彼が…、FBIの…、大和さん…?」
先生の姿を見た片桐さんも私と同じように疑いの目を向けて来る。
「そう…、大和先生です。」
「えーっと…。」
スウェットにサンダル履きのボロ雑巾男がFBIの捜査官だという事実を飲み込めない片桐さんの気持ちが有り得ない程に理解が出来る。
「なんでスウェットなんですか?」
先生の姿が信じられない片桐さんがヒソヒソ声で私に聞いて来る。
「ラーメンを食いに行くと約束をしたんだ。」
しっかりと片桐さんの声が聞こえてる先生がそう呟いて踞る。
私に騙されて無理矢理に連れて来られた感をアピールしてる場合じゃないでしょ!?
先生を睨み付けると片桐さんが
「ラーメン?」
と私に聞いて来る。
「夕食にラーメンを食べに行こうとした道中で片桐さんの電話を受けたんです。だから先生は今は空腹の為に機嫌が悪いんですよ。」
ラーメンを食べ損ねたのは私が原因じゃなくて片桐さんが悪いのだと責任を押し付ける。
「とにかく、ちょっとだけ待ってて下さい。」
と片桐さんが奈々ちゃんの家の方へと走ってく。
今だとばかりに私は先生にお説教をする。
「ねえ、先生。今だけはラーメンよりも奈々ちゃんの事を考えてあげて下さいよ。」
ラーメンなら奈々ちゃんが見つかった後に吐くほど食べさせてあげるから…。
今だけは危険な状況の3歳の女の子が居る事を理解して欲しいと願う。
なのに…。
「奈々ちゃん?」
と知らない人間には全く興味のないボロ雑巾がとぼけて聞いて来る。