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メンタリズムな恋…
第18章 先生、先生って呼んで
私の態度に幸之助が切ない目を向けて来る。
その視線が痛いほど熱くて私の顔だけが火照る。
「暖房…、入れてあげるから…。」
ベッドのヘッドボードにあるエアコンのリモコンを取ろうとすれば幸之助が私の腰を引き寄せる。
「亜子が温めてくれないのか?」
ニヤニヤとして意地悪に笑いながら私を見る幸之助にムカつく。
「しないわよ。」
「もう片桐の女だからか?」
「だからっ…、片桐さんは関係ないってば…。」
なんで、この人はこうなんだと睨み付ける。
なのに…。
「そうだろうな…。」
と幸之助は私の顔を撫でながら呑気に呟く。
「わかってて…。」
「わかってる。俺がアメリカに帰った後からは亜子が泣いてるのも…、怒ってるのも…。お前の声だけはずっと聞こえてた。神戸でお前の声がした時も幻聴かと思うほどお前の声は聞こえてた。」
私から消えたと感じてた繋がりを幸之助だけが感じてたと今更に言う。
「だったら…。」
「だからこそだ。お前ならわかるだろ?俺の痛みを理解すればお前は辛い顔しかしない。それがメンタリストって奴だ。」
お互いの痛みを感じながら寄り添う事は不可能だと幸之助が私を突き放す。
「それでも…、幸之助が好き…、幸之助じゃなきゃ嫌なの…。」
「わかってるよ。」
泣き出した私を幸之助が抱き締めて撫でる。
幸之助が感じてる痛みが私に流れ込む。
こんな風に泣いてるだけじゃ幸之助の傍には居られないのかもしれないと思う。
「痛いの?」
涙を拭い彼の左肩を撫でてみる。
「まあ、普通に痛い。」
「普通に…?」
幸之助が迷った顔をする。
それを言えば私がまた心に痛みを感じ、それが幸之助に跳ね返るからだ。
「脱げ…。」
悲しみよりも怒りが勝る私は幸之助のTシャツに手を掛ける。