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メンタリズムな恋…
第18章 先生、先生って呼んで



幸之助は呑気に笑う。


「亜子の助平…。」

「うるさいっ!」


強引にTシャツを脱がせれば左肩から脇腹に向かって巻き付けられた包帯に目が痛くなる。

肩口からは包帯に血が滲み私が触れると幸之助が痛みで顔を歪めて来る。


「痛いなら痛いって素直に言いなさいよ。」

「絶対に言わねえよ。」


無理矢理に幸之助が笑う。

神の子だから…。

痛いと喚く凡人にはならない。


「何の傷?」

「撃たれた。」

「撃たれた!?」

「強盗の立て篭り事件で現場に呼ばれたら銃撃戦が始まって見事に玉が貫通した。」


ヘラヘラ笑う幸之助に腹が立つ。

傷口を避けて左肩を掴んでやる。


「痛っ…。」


さすがに私の平手打ちよりも痛いらしい。

激痛に幸之助が踞る。


「真面目に話をしないなら…。」


もう一度、痛い思いをさせるぞと脅してやる。

幸之助に私の言う事を素直に聞かせたい時はこうやって脅すしかない。


「飛行機の気圧のせいで傷が少し開いてんだよ。これ以上の無茶するな。」


この脅しはやり過ぎたらしい。

有無を言わさずに幸之助が私を引き寄せて唇で口を塞いで来る。

変わらないキス…。

変わらない温もり…。

私が蕩けて力が抜けるまで執拗で深いキスを幸之助は続ける。


「あふっ…。」


寒いはずなのに全身の血が沸騰したらしく頭が熱くて堪らない。


「相変わらず、亜子は俺が好きだな。」


ニヤリと不敵な笑みを浮かべる幸之助から逃げようとして踠く。


「暴れんな。また傷口が開く。」


私を片腕で抱き上げる幸之助の言葉にドキリとする。

傷口が開いて大変な事になったら…。

本当に幸之助を失っちゃう。


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