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メンタリズムな恋…
第2章 先生、事件です



ブチッ…。

私の中で何かが事切れる音がする。


「奈々ちゃんですよっ!今、行方不明の3歳の女の子なんです。きっと凄く心細くて怖がってる。泣いてるかも…、もしかしたら、もう泣く力すらもないかも。そんな可哀想な女の子が今は必死に先生の助けを求めてるんですよ!」


先生のトレーナーの胸ぐらを掴んで叫んでた。


「アメリカじゃ…、40秒に1人の人間が消える。」


私に胸ぐらを掴まれたままボソリと先生が呟く。

アメリカじゃ…。

そんな風に人が消えるのが当たり前だから興味がないのだと言わんばかりの態度に涙が出る。


「残念だけどここは日本なんですよ。アメリカじゃないっ!お願いだから先生、奈々ちゃんを探してあげてよ。先生なら探せるんでしょ?だから現場に呼ばれたんでしょ?だったら先生が持つメンタリズムの力で奈々ちゃんを助けてあげて下さいよっ!」


この人が持つ力が私に欲しかった。

私に完璧なメンタリズムがあれば奈々ちゃんを私が探せるのにと思うと悔しくて、その反面、力を持ってるのに何もしようとしない先生に腹が立つ。

だけど私は先生に縋り付く。

この人しか奈々ちゃんが見つけられないから…。

何故か私の心がそう叫ぶ。

この人なら、きっと奈々ちゃんが見つかると心の何処かで確信をしてる私が居る。


「お願い…、先生…。見つけてあげて…。」


胸ぐらを掴んでた手が縋り付く手に変化すれば先生が私の頭を子供をあやすように撫でて来る。


「俺は千里眼でも魔法使いでもない。見つけろって言われても簡単に見つけられる約束は出来ない。」


私を慰めながらも淡々と冷たい言葉を吐く。


「でもメンタリストでしょ!?」

「メンタリストは万能じゃない。」


何を言ってもボロ雑巾に人の心は伝わらないのかと愕然とした。


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