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メンタリズムな恋…
第18章 先生、先生って呼んで
正直なところ…。
未だに、この行為に慣れてない。
そもそも半年も前に一度だけ幸之助と経験しただけで処女の時と変わらない私は幸之助の命令に従うだけのマグロと大差ない。
「脱げばいいんでしょ…。」
とりあえず、上半身だけはとセーターを脱ぐ。
「度胸だけは付いたか…。」
私がカウンセラーのはずなのに私の状況を幸之助の方が分析する。
「あれだけ怖い思いしたらね。」
「まだ怖いか?」
幸之助の瞳に悲しみが浮かぶ。
私が怖くないと言えば幸之助は自分の役目は終わりだと悟ってる。
そこに孤独を感じる。
誰かに求められたいのだ。
誰かと繋がりを持ちたいのだ。
失うだけの人生は喪失感と孤独感だけしか齎さない。
幸之助は失うだけの人生だった。
母親を亡くし父親を亡くし…。
兄すら居ないと自分で言い切り失った。
次は私を失うかもしれないと考える幸之助は無理矢理に私の繋がりを断ち切ろうとまでする。
その繋がりを取り戻さなければと私は必死に踠く。
「今は…、幸之助を失うのが一番怖いよ。」
スカートを脱ぎ幸之助に寄り添えば幸之助が私をベッドに入れて髪を撫でる。
「お前と居る…。そう約束したろ。」
「嘘つき…、居なかったじゃない。」
「大人は色々と迷う事があんの。」
「子供扱いは止めて…。」
「子供扱いはしてない。女として見てるよ。」
右腕だけで私を抱えて幸之助が笑う。
そっと私の胸に顔を埋めて小さくなる。
その頭を抱えて私が幸之助を抱き締める。
私の魔法の鳥…。
温かい…。
やっと私の心の穴が埋まる気がする。
だけど幸之助の心の穴を埋めてあげなければ私は再び幸之助を失うかもしれない。