この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
メンタリズムな恋…
第20章 先生…
「うん…、あの時の幸之助は微妙な立場だったの。何故なら幸之助は石井の弟だったから。」
この説明に再びお母さんの表情が怯えたものへと変化する。
「亜子っ!?」
「大丈夫だよ。幸之助は石井とは違う。幸之助のご両親は石井との関係を断ちたいと願って幸之助の存在をあの事件から遠ざけた。」
「だから警察はあの少年の連絡先を教えてくれなかったのか?」
「そうだと思う。」
1つづつ、ゆっくりとお父さんが人間関係の状況の確認をする。
石井との関係があったとしても幸之助が私を助けた事実は何も変わらない。
うちの両親は偏見に囚われる人達ではない。
田舎者で素直で自分達が見た事実だけを受け入れる人だと私はわかってる。
「そうか…、とにかく大和さんが居たから亜子は無事だったんだね。ありがとう、大和さんには本当に感謝してる。うちの亜子を色々と助けてくれてありがとうございます。」
お父さんが深々と幸之助に頭を下げる。
「あ…、いや…、頭…、上げて下さい。」
こういうストレートな感情に対して不慣れな幸之助は狼狽える。
「それで、その話をする為にわざわざ亜子は大和さんと帰省なの?」
やっと状況を飲み込めたお母さんが聞いて来る。
「うん、あのね。お父さん…。まだ先の事はわからないけど…。私にとって今は幸之助がお父さんよりも好きな人なんだ。」
「おやおや…。」
「だから大学院には行く。幸之助もそうしろって言ってくれてる。」
「そうか…。」
「そこでお願いがあるの。幸之助をうちの家族として扱って欲しいの。」
一人娘の我儘を私はフルに発揮する。
無茶な我儘は聞いてくれない両親だけど出来る事なら必ず叶えてくれる家族だった。