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メンタリズムな恋…
第20章 先生…
幸之助が時折見せてくれるメンタリズムには私の方が癒されると思う。
部屋に入り幸之助をベッドに座らせれば、さっきまで大人だった幸之助が不機嫌な膨れっ面に変わり私の頬を抓り出す。
「どういうつもりだ?」
「らにが?(何が?)」
「俺はすき焼きとか食わねえよ。」
「ああ…。」
いきなり両親に家族扱いを望んだ私から幸之助は逃げたがる。
「でも、うちの家族はすき焼きが好きなの。」
ヘラヘラと笑いながら幸之助と話をする。
「お前の家族が好きでも…。」
「幸之助も家族だよ?」
「俺は…。」
「やっぱり、私と家族にはなれない?」
幸之助のコートを脱がせながら確信へと触れる。
「そうじゃない…。」
「なら何?」
「亜子は好きだ。だけど、この先の亜子にはまだやる事が色々とあるだろ?大学院で臨床心理士の資格を取るとか…。」
「資格はちゃんと取るよ。でも、それと幸之助との結婚は別問題だよ。」
「俺なんかにかまけてる余裕なんかないぞ。」
「そうやって、幸之助が私から離れようとするから大学院に行く気が失くなる。」
「俺のせいにすんな…。」
「幸之助のせいだよ。」
18年前…。
幸之助と出会ってなければ、きっと片桐さんと普通に恋愛をしてた私が想像出来る。
だけど私は先にメンタリストと出会ってしまった。
私が欲しいと望む人に今も私は囚われてる。
「だから…、幸之助の家族になる。幸之助が望むなら幸之助の子供を何人でも産んであげるって夏にも言ったはずだよ。」
幸之助は目を細めて慎重に私の言葉を分析する。
私のメンタリズムを感じてる。
私が本気なのかを幸之助なりに分析してから幸之助は自分の考えをまとめる。