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メンタリズムな恋…
第20章 先生…



「俺は…。」


ゆっくりと息を呑み、幸之助が私に対する答えを出そうとする。


「アメリカに帰るって言いたいんでしょ?それもわかってる。」


幸之助が躊躇う理由なら嫌という程に理解してる。


「だったら…。」

「だからだよ。幸之助が何処に行こうと家族で在りたいと私は思ってる。もしも、妊娠とかしても私だけで産む覚悟は出来てるよ。」

「そんな訳に行くかよ。」


お母さんと同じ思いをさせたくない幸之助は顔を歪めて私の覚悟を否定する。


「大丈夫だよ。幸之助…、幸之助のお母さんは幸之助のお父さんを愛してた。幸之助のお父さんも本当は幸之助を愛してた。」

「それは…。」

「今なら、わかるんだ。」


今ならわかる。

私はメンタリストだから…。

幸之助のお母さんは幸之助のお父さんを愛してたから幸之助を養子に出せなかった。

幸之助のお父さんは幸之助のお母さんと幸之助を愛してたからメンタリズムが狂った石井とは他人のままにしておきたかったのだ。

幸之助の両親は幸之助を守る為に生きて来た。

その事実を幸之助に理解させるのが私の役目。


「今の幸之助のご両親も幸之助を愛してる。私も幸之助を愛してる。私の両親もきっと幸之助を家族として受け入れて愛してくれる。」


だから逃げないで欲しいと幸之助に私は縋る。


「亜子…。」

「誰よりも愛してる。悪いけど、それは幸之助のお母さんにも負けないからね。」


笑顔を幸之助に向ける。

私の意思に迷いがない事を幸之助に示す。


「お前って奴は…。」


幸之助が泣きそうな表情に変わる。

泣きたいのに泣けない人…。

自分が神の子だと強がる事で家族が居ない自分を哀れむ事なく生きて来た人…。

そんな男に家族を与えたいと心の底から思う。


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