この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
メンタリズムな恋…
第20章 先生…
私の考えを簡単に見抜く幸之助が呆れた表情へと変わってく。
「家族になるって…、そんな簡単な事じゃない。」
ため息混じりに幸之助が呟く。
神奈川のご両親と気を使い過ぎてギクシャクした関係になった幸之助が私にわかるように話をする。
「ただ心配だという理由だけで両親から毎回泣きそうな顔とかされると自分の望みなんか自分勝手な我儘に感じて来る。」
人の感情や表情を感じ易いメンタリストだから神奈川のご両親の心の痛みの全てを幸之助はそのまま感じてしまう。
だから…。
幸之助のお母さんは中国でずっと笑ってるだけの人を貫いた。
河合教授は幸之助をアメリカに行かせて神奈川のご両親と距離を置かせた。
私の痛みを感じる幸之助は自分から私に対して距離を置こうともがいてる。
「逃げないで…。」
「逃げてるわけじゃねえよ。」
「逃げてるよ。私が幸之助の傍に居たら…、そんなに迷惑?」
幸之助が戸惑う表情をする。
幸之助自身も迷ってる。
「ねえ、幸之助っ!」
一気に幸之助に詰め寄れば幸之助が顔を歪めてベッドへと倒れ込む。
「痛いんですけど…。」
左肩を押さえて幸之助が踞る。
これは幸之助の逃げだ。
踞り、頑なに人を寄せ付けようとしない。
「痛くても我慢しなさい。」
無理矢理に幸之助に跨り幸之助の顔を覗き込む。
「なんでだよ…。」
「私は幸之助が好きだから…、幸之助が私を好きだからだよ。」
「好きだよ。怪我が無けりゃ、今すぐにでも亜子をこのベッドでヒーヒー言わせたいくらいにな。」
いい加減な言葉と態度で人を翻弄しようとする。
そんな幸之助に腹が立つ。
それでも私は幸之助が好きだから…。
私の気持ちの全てを幸之助に伝えたい。