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メンタリズムな恋…
第20章 先生…
本当は優しいくせに…。
意地悪な態度で私を突き放そうとする幸之助のやり方に胸の奥が痛くて堪らない。
「だから…。」
幸之助が眉間にキスをして囁く。
「そういう顔はするな。亜子には、ただ笑ってて欲しいと思う。」
そうやって私の小さな恋心が、冷たい幸之助を諦めるようにとわざと誘導する。
「笑えない…。」
「笑えよ…。」
「私じゃダメなの?」
「亜子を愛してる。何処に居ても誰と居ても…。」
「だったら…。」
片桐さんに私を託す様な言い方はして欲しくない。
「それでも俺じゃない方が亜子には良いと思う。」
私よりも先に幸之助が諦めてる。
そんな幸之助を見たくない。
そんな恋がしたかった訳じゃない。
「絶対に幸之助を諦めない。」
私の気持ちだけを一方的に押し付ける。
私には力がない。
メンタリストとして幸之助の気持ちを私に向けて誘導出来るだけの力がない。
悔しくて涙が出る。
愛してる…。
幸之助にとって、今の私は重くてウザい女なのかもしれないとか考えるだけで死にたくなる。
「幸之助…。」
不安がる私を見て幸之助は穏やかに笑う。
「少し…、寝かせてくれ…。」
私を抱えるようにして幸之助が目を閉じる。
まだ幸之助の傷は癒えてない。
どうすれば私の傍に居てくれる?
答えなんか見えない。
気付けば私も眠ってた。
「亜子、ご飯よ。」
お母さんの声で目覚める。
「幸之助…?」
「幸之助さんならお風呂よ。」
「お風呂?」
もう私の部屋の窓の外は真っ暗になってる。
「傷口が気になるから亜子と入ればって聞いたら、それだけは嫌ですって真っ赤になって答えるの。」
お母さんが嬉しそうにクスクスと笑う。