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メンタリズムな恋…
第20章 先生…
「幸之助が?」
「あの人って案外、純情よね?夏に見た時はもっと冷たい感じの人に見えたからお父さんも色々と心配してたんだけどね。」
「幸之助が純情…?」
なんか勘違いしてる気がする。
うちのお母さんって能天気な時があるから違う意味で不安になる。
「純情…っていうか、純粋なのかも?」
「だから…、あの幸之助が!?」
疑いの目で自分の母親を眺める。
「普通の人の知らない事をいっぱい知ってる人って意外と普通の事を知らないのよ。」
「普通の事を?」
「そう…、例えば普通家族との接し方とか…、そう思ったから亜子はお母さん達に家族として接して欲しいと言って彼を連れて帰って来たのでしょう。」
それはそうだ。
でも、いざとなると家族としてどう接すれば良いのかがわからなくなる。
「亜子は頭で考え過ぎる。」
お母さんが呑気に笑う。
同じ様な事を河合教授にも言われた覚えがある。
「だって…。」
「焦っても仕方ないでしょ?無理に家族のフリをしても家族じゃないんだから…。家族って自然と家族になっていくものよ。」
「自然に?」
「お父さんとお母さんだって、亜子が生まれるまでは家族って感覚が無かったもの。」
「お父さん達も?」
私が生まれて私が気付いた時には当たり前に家族だった記憶しかない。
いつだって楽しくて笑いが絶えない家族だった。
だから幸之助を連れて来た。
ずっと笑ってるだけのお母さんが家族だった幸之助にもう一度、家族を味わって欲しかったから…。
家族を感じれば、幸之助がもう少し他人を受け入れるのではないかと考えた。
「無理に家族ごっこしても駄目って事だよね。」
お母さんの言葉で私がやろうとしてる事が間違ってると思い直す。