この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
メンタリズムな恋…
第3章 先生、解決しました
「すみません、少しだけお宅にある倉庫を見せて頂けませんか?」
私の言葉に農夫が眉を顰める。
「うちの倉庫を?」
「小さな子供はそういう場所に入ってかくれんぼをしたがるものです。」
「だが、うちの倉庫には居ない。今朝も耕具を取りに入ったが奈々ちゃんは居なかった。」
「お願いします。ちょっと見て確認するだけでいいんです。」
嫌がる農夫に頼み込む。
私の中の何かが倉庫には何かがあると感じさせる。
「まあ、少しなら…。」
農夫は変に疑われても迷惑だと私を連れて倉庫の方へと向かった。
「言った通り、誰も居ないだろ?」
トタンで出来た扉を開き農夫が私に確認する。
中には農作業用の耕具や田植えに使うトラクターが停めてある。
農夫が豆電球を点け倉庫の中を照らしてくれる。
1歩2歩と倉庫の中に入り中をぐるりと見渡した。
奈々ちゃんは確かに居ない。
なのに…。
「ほら、もういいだろ?」
私に倉庫から出るように農夫が言う。
「嫌よ…。」
私はとんでもない言葉を発する。
「はあ?あんた、何を言ってんだ?」
農夫が苛立ちを見せて来る。
その農夫に逆らうようにトラクターの後ろに隠れて倉庫から出る事を拒否してしまう。
何故…?
頭では私の行動は明らかにおかしいとわかってる。
なのに私の身体と心がこの倉庫から出てはいけないと私の自由を奪い去る。
「何なんだ?あんた、本当に警察の関係者か?」
農夫が声を荒げて来る。
「嫌よっ!絶対に嫌っ!ここを出たら殺される。」
私の意思に反する言葉が口から飛び出し、私じゃない何かが私の意識を支配する。