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メンタリズムな恋…
第3章 先生、解決しました
軽トラックが見えて来た。
「荷台に毛布がある。それで奈々ちゃんを包め。」
今は一刻を争うのだと先生の言葉から感じる。
荷台に積まれてた毛布を広げると先生が私に奈々ちゃんを渡して来る。
「出来るだけ呼びかけて意識を取り戻させろ。」
軽トラックに乗り込む先生が言う。
私も奈々ちゃんを膝に抱える形で軽トラックに乗る。
バッグにあったウェットティッシュで奈々ちゃんの顔を拭き、携帯で片桐さんに連絡する。
今度は直ぐに繋がった。
『三好さん?どこに居るのです?』
もう片桐さん達の捜索時間は終わってる。
「山で奈々ちゃんを見つけました。でも今は意識が無くて…。」
『奈々ちゃんを!?息はありますか?』
「息はあります。奈々ちゃんの家に向かってます。だから救急車を…。」
『直ぐに手配します。』
電話が一方的に切れた。
「奈々ちゃん、ねえ…、奈々ちゃん。」
顔を拭きながら声を掛ける。
薄らと奈々ちゃんが目を開ける。
唇が乾いてる。
「……。」
奈々ちゃんの口が微かに『ママ』と動いてる。
「もう大丈夫だよ。ママが心配してるから早く奈々ちゃんのお家に帰ろうね。」
涙が出た。
ぽたぽたと奈々ちゃんの乾いた顔に私の目から溢れた涙が落ちていく。
ふと私の手が握られる。
細く長い指…。
私の手を包むその手が今度は私に奈々ちゃんの手を握らせる。
温かい…。
私の手を包む手も奈々ちゃんの手も…。
息を吸う。
「奈々ちゃん、聞こえる?もう大丈夫だからね。ママのところに帰ろうね。」
涙を止めて奈々ちゃんに笑顔を見せれば奈々ちゃんが少しだけ笑ったようにも見えた。