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メンタリズムな恋…
第1章 怪しいバイトの始まり
その沙莉奈が単位を無事にクリアするたび私に言って来た言葉が
『私が亜子の為に出来る事があればなんでもしてあげるからね。』
だった。
今回はそこに甘えてランチを奢って欲しいと沙莉奈に頼む羽目になる。
「やっぱり…、お金を貸そうか?返済なんか気にする事ないからさ。」
ランチをがっつく私を沙莉奈が心配そうに見る。
「大丈夫よ。今朝は教授に頼まれた仕事があったせいで朝食抜きだったの。普段なら学生寮の朝食が食べられるからランチくらい抜いても平気だし。」
学生寮に居る限り餓死する心配だけはない。
ダイエットだと思えばお昼抜きくらいはどうって事ないと笑う。
「その教授に亜子はいいように使われ過ぎだよ。」
沙莉奈がまた顔を歪めて私を見る。
かなり私の心配をしてくれてる。
「だって…、河合教授だもん。」
そうとしか答える事が出来ない。
うちの大学はあまりレベルの高い方じゃない。
私立で学費も高いし、私のように貧乏な学生はほとんど居ない。
しかも私の実家からは片道に電車で2時間もかかる為に親に頼み込んで学生寮に入れて貰った。
実家にほど近い他の公立の大学に行けば良かったかもしれないが、わざわざ奨学金を受けてでも私はこの大学を選んだ。
理由は河合教授が居たからだ。
心理学の河合教授…。
少しばかし有名な教授でテレビにも時々出る。
何故なら教授はメンタリスト。
私の憧れであり、教授から学ぶ為ならと助手の仕事も喜んで引き受ける。
この先は大学院に進み、教授の助手として大学に残るつもりの私を沙莉奈は心配する。
異常なほど教授に入れ込み過ぎではないかと沙莉奈が疑いの目で私を見る。