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メンタリズムな恋…
第4章 先生、油断大敵です
「……。」
無言のまま私を見下ろして先生が顔を歪める。
しかも私に向かって何かを寄越せと言わんばかりに手の平を向けて来る。
「?」
先生の手をじっと見る。
白く細長い指の綺麗な手…。
それが何を意味するのかを考える。
「警視庁からの経費は俺にしか出てない…。亜子は別経費のはずだ。」
ボソリと先生が呟いた。
警視庁からの経費…?
この部屋は片桐さんが取った。
私は別経費…?
河合教授から私は経費を貰ってる。
まさか!?
「私の部屋は自分で取らないと駄目なんだって事ですか!?」
思わずそう叫んでた。
考えてみればわかる事…。
私の立場はあくまでも大和 幸之助のオマケであり俄仕立ての助手である。
そんな私を警視庁が面倒なんてみてくれない。
とにかく部屋の鍵を開けて先生を警視庁が用意した部屋へと放り込む。
「フロントに行って来ますっ!」
先生を部屋に残し私は一目散に1階のフロントへと舞い戻る。
「生憎…、本日はもう満室となっております。」
「ひぃぃぃっ!?」
フロントマンの無情な言葉に悲鳴が出た。
「他のホテルは!?」
「この先に車で10分ほど行けば…。」
「ひぃぃぃっ!?」
諦めてフロントを離れてエレベーターに乗る。
先生の部屋の呼び鈴を押せば嫌そうな顔をする先生がドアを開けてくれる。
「……すみません、ソファーでも良いので今夜は泊めて下さい。」
泣きたい気分で先生に頭を下げるしかない。
先生が私の頭をくしゃくしゃと撫でる。
「ツインだから亜子のベッドはある。」
そう言って先生が私を部屋の中へと入れてくれる。
ツイン?
なら片桐さんは始めから私と先生が同じ部屋だと部屋を用意してたんじゃないの?
なんとなく先生に騙されて狼狽えた気分を味わった自分が馬鹿みたいに思える。