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メンタリズムな恋…
第4章 先生、油断大敵です
所詮はビジネスホテル…。
自動販売機コーナーと書かれた小さな一画には自動販売機が6台ほど並んでる。
3つはお酒やソフトドリンク…。
値段は通常よりも5割増し…。
更に1つはアイスクリームの自動販売機。
そして柿の種などのおつまみの自動販売機。
唯一の食事と言える自動販売機は蕎麦とうどんのカップラーメンタイプが買えるレベル。
無いよりもマシか…。
カップ蕎麦を2つ買う。
ラーメン、ラーメンと騒いでた人だからうどんよりも蕎麦だろう。
先生からの文句を覚悟でお湯の注がれたカップ蕎麦を部屋に持ち帰る。
カップ蕎麦で塞がる不便な両手でモタモタと部屋の扉を開けた瞬間、トイレ付きユニットバスの扉が開き腰にタオルを巻いただけの先生がしなやかな裸体を私に晒す。
「ひぃぃぃっ!?」
カップ蕎麦を先生に投げ付けそうになる。
「何?」
髪から水滴を滴らせて髪を掻き上げながら美しい流し目が私を見る。
「早く服を着て下さいっ!」
水も滴る良い男…。
そんな存在には慣れてないから…。
いや、慣れててもきっとドキドキする。
女の私よりも綺麗な顔をしてる。
怖いくらいに惹き込まれるあの瞳から目を逸らす。
「見られたのは俺なのに…。」
私の態度が理不尽だと先生がブツブツと私に対する文句を呟く。
「いーから、さっさと服を着てっ!」
母親のように先生を叱れば先生は黙ったまま自分のスウェットの着て元のボロ雑巾男へと変貌する。
何故か私はホッとする。
美しき大和 幸之助よりも、このボロ雑巾男の方が私には気が楽だ。
「先生、食事です。」
窓際にある小さなテーブルにカップ蕎麦を置き冷蔵庫から通常の倍の値段のお茶を出す。