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メンタリズムな恋…
第4章 先生、油断大敵です
「……。」
いい加減にこの無言攻撃にも慣れて来た。
「食べないのなら勿体ないから先生の分も私が食べちゃいますよ。」
ボロ雑巾男は脅されると素直に従うという変わった生き物である。
まだ不機嫌な表情ではあるが先生はカップ蕎麦を握り締めるなり啜る事はせずに黙々と口の中へと蕎麦を押し込み始める。
「不味っ…。」
当然の呟きが聞こえる。
お湯が温い…。
所々、麺が硬い。
妙にしょっぱいだけの蕎麦…。
「カップラーメンなんてその程度です。」
開き直って言い返す。
「蕎麦だ。」
先生は負けじと私の揚げ足を取る。
食欲が無くなった。
「私もお風呂をして来ます。先生も疲れてるでしょうから、もう寝て下さいね。」
そう言ってベッドの足元にあったホテルの浴衣を持ちユニットバスに入る。
本当は先生に聞きたい事がある。
私のおかしな記憶…。
先生はそれを私の過去だと言った。
封印された記憶だと…。
それが何の記憶で何故封印されてるのかを知りたいと思う。
熱いシャワーを浴びながらその事を考える。
幾ら考えても答えは先生の中にある。
問い詰めて聞き出したいがもう深夜…。
突然、奈々ちゃんの捜索という大仕事を押し付けられた不機嫌な先生が答えてくれるとは思えない。
明日…。
ラーメンを食べさせて機嫌を取ってから聞くべき?
そんな事よりも…。
いきなりの外泊…。
下着がない。
てか、汚れた下着は嫌だと思いブラとパンティーをお風呂で手洗いしてお風呂のタオル掛けで干す。
「明日までに乾く?」
湿気た下着とかやだなぁと思いながら換気を回したままユニットバスを出た。
先生はまだ窓際のソファーに踞ったままだ。
「先生、そろそろ寝ないと…、明日こそは横浜にラーメンを食べに行くんでしょ?」
先生の肩を揺すって聞いてみる。