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メンタリズムな恋…
第4章 先生、油断大敵です
先生が手首から手を離し私の手を包むようにして握って来る。
もう片方の手がそっと私の顔を撫で始める。
「シーッ…、もう大丈夫…、亜子。ゆっくりとで良いから深呼吸して…。」
先生の声と温もりに落ち着いて来る。
言われるがままに深呼吸をする。
「シーッ…、もう大丈夫…、亜子は何も怖くない。亜子に怖い事は何もない。」
子供をあやすように私を撫でる先生が何度もその言葉を繰り返す。
それは前にも聞いた事がある気がする。
もどかしいデジャヴに苛立ちすら感じる。
「先生っ!」
「目を閉じて…。」
「でも先生…。」
「目を閉じて、ゆっくりと息を吸う。」
催眠術にかかったように先生の言葉に従って目を閉じてから息を吸う。
チュッ…。
頬に何かが掠めてリップ音がする。
「先生っ!?」
パニックになって目を開ける。
「油断大敵…。」
謎の言葉を先生が発する。
「何がですか!?」
「胸…、見えてる。」
……。
慌てて自分の胸元を確認する。
先生が私の上から降りる。
肌蹴た浴衣の襟元からは私の微妙な胸の谷間が先生に晒されてる。
「きゃあぁぁぁぁっ!」
本日2度目の悲鳴を上げる。
「静かにしないとホテルから苦情が来るぞ。」
両手で耳を塞ぐ先生が文句を言う。
「スケベっ!馬鹿っ!変態っ!」
「スケベをするつもりなら黙って触ってる。」
「ひぃぃぃっ!?」
確かに夕べは黙って胸を触って来た人だ。
浴衣の乱れを直して先生の方を見る。
「ねえ、先生。変な夢を見たの。あれが私の封印された過去の記憶なの?」
話の確信を先生に問う。
「腹…、減った。」
ボロ雑巾はいつもの台詞を呟く。
「腹減ったって…。」
窓の外が明るい。
携帯を見て時間の確認をする。
朝の8時…。
モーニングは始まってる。