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メンタリズムな恋…
第5章 先生、何処に行ったの?



私の任務失敗を片桐さんは予測済みだったらしい。


『大丈夫ですよ。今は三好さんはどこですか?』

「先生の…、ペントハウス…。」

『見失った場所は?』

「うちの大学の学生寮の前…。」

『僕が迎えに行くまでは三好さんはそこに居て下さいね。』


片桐さんは何度も私に動くなと念を押してから電話を切る。

迎えに行くって…。

男の人にそんな風に言われるとか初めての経験だからとドキドキする。

絵本に出て来る白馬の王子様のお迎えを待つ気分ってこんな感じ?

私は小さな時から夢見る夢子ちゃんだ。

一番始めになりたかったものは確か魔法少女だった気がする。

魔法少女?

気付ば魔法少女になりたい気持ちが薄れてた。

あれはいつの頃の事?

あんなに夢中でなりたかったはずの魔法少女の記憶が曖昧で霧がかかったようにぼんやりとしてる。

そんな事よりも今は先生だ。

リュックをリビングのソファーに置き広いリビングの中を熊のように落ち着きなくウロウロする。


「三好さーんっ?居ますかー?」


ペントハウスの玄関から片桐さんの声がする。


「片桐さんっ!」


玄関に向かって飛び出せば片桐さんが私に爽やかで穏やかな笑顔を向けて来る。


「かた…。」


ポロリと涙が出た。

疲れてる上に先生を見失うという自分がやらかした失敗に泣けてしまう。


「うわっ…、大丈夫ですよ。大和さんの行き先なら、もうこちらで捉えましたから…。」


いきなり涙を流す私に片桐さんが狼狽える。


「先生、見つかったの!?」

「広域手配を掛けて大和さんの車の行き先を追跡しましたからね。彼なら今は高速道路で愛知方面へと南下中ですよ。」

「はあ?」


訳がわからない。


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