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メンタリズムな恋…
第5章 先生、何処に行ったの?
やばい…。
ますます緊張する。
ここから先は片桐さんと何を話したら良いのかがわからない。
男の人ってお父さんと河合教授しか知らないもん。
デートだよ?
どんな所に行くの?
どんな姿で行けばいいの?
それよりも私は何をすればいいの?
自分の妄想だけでパニックになりそう。
「居ましたよ…。」
片桐さんがポツリと言う。
「へ?」
片桐さんの車は高速からサービスエリアに入り、その片隅へと向かってる。
駐車場の隅にパトカーが見えるとそのパトカーの隣りには確保された先生の赤い車も停まってる。
「先生は…。」
車の周りを見張るように制服のお巡りさんが2人立ってる姿を見ると先生が犯罪者扱いされてるみたいに見えて嫌だなとか思う。
パトカーと並んで片桐さんの車も停まる。
制服のお巡りさんは片桐さんに敬礼する。
「先生…。」
車を飛び出して先生の車の中を確認すれば子供が拗ねたように運転席に踞るボロ雑巾の姿にホッと胸を撫で下ろす。
「車から降りて貰えないんですよ。」
先生のお巡りさんが困ったように片桐さんに説明する声が聞こえる。
「大丈夫ですよ。大和さんなら彼女がなんとかしますから…。」
片桐さんがそう説明すると制服のお巡りさん達はパトカーでサービスエリアから立ち去る。
私がなんとかするって…。
運転席の窓を叩く。
「先生…、ねぇ、開けて下さい。」
聞こえてるのかが不安になる。
怯えたように車内で踞る先生がまるで魔女に閉じ込められた魔法の鳥に見えたから…。
出て来てよ…。
そう願いを込めて窓をノックする。
「先生…。」
私の呼び掛けにゆっくりと先生が顔を上げる。