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メンタリズムな恋…
第5章 先生、何処に行ったの?
車の扉が開く。
「先生!?」
私の身体が強張り、目を見開いて宙を見る。
ゆらりと車から降りて来た先生がふわりと私に抱き着いて来る。
まるで私を隠すようにしっかりと私の全身を包み込んで抱き締める先生に緊張しちゃう。
「俺…、なんで広域とか受けてんだよ。」
先生が低く怒りを込めた怖い声で呟く。
私に怒ってる?
恐る恐ると先生を見る。
伸び切った前髪の隙間から見えた鋭い目は片桐さんを睨み付けてる。
「大和さんが居なくなったと三好さんが困ってたからですよ。」
眉を顰める片桐さんが先生に説明する。
「そうですよ。先生が突然居なくなったりするから探すしかなかったんですよ。」
片桐さんが悪いんじゃないと私も先生に抗議する。
「亜子は家に帰っただろ?」
先生が私の顔を確認するように指先で撫でて来る。
真っ直ぐに私を見る。
片桐さんに向ける視線と違い私には心配するような切ない視線を送ってる。
私の髪を指先に絡ませて私の顔を優しく撫でては覗き込む先生はまるで私を恋人のような扱いを片桐さんに見せ付ける。
先生の視線が余りにも熱くて心臓が壊れそうなほど激しい鼓動を繰り返す。
「帰ったんじゃ…、ないもん。」
先生の顔をこれ以上はまともに見れずに俯いて先生から離れようと無様に踠く。
「日本じゃ行動の自由とかないのか?」
「本来なら保護するべき身柄ですからね…。」
片桐さんと先生は先生の腕の中でジタバタとしてる私にお構い無しに淡々と話をしてる。
保護する?
先生は保護される為に日本に帰って来たの?
豪華なペントハウスに護衛付きで閉じ込められてる先生に何があったのかと気になる。