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メンタリズムな恋…
第5章 先生、何処に行ったの?
「とにかく、お2人にはこれから警視庁の方へ来て頂きますよ。」
片桐さんがそう言うから
「私が運転するから先生は助手席に…。」
と言って先生を突き放す。
先生はずっと片桐さんを睨んでる。
「先生ってば…。」
私が呼べば先生が助手席側に回り込み大人しく車に乗り込んだ。
ひとまずは安心する。
もう夕方になる。
「一体、何処に行くつもりだったんですか?」
高速道路を東京行きの車線に乗り換えて先生に聞いてみる。
「神戸…。」
窓の外を眺めながら先生が答える。
「神戸って…、関西のですか?」
「肉まんが食いたくなった。」
「また薬膳ですか!?」
「そこは普通の肉まん。」
普通の肉まんなら横浜にもあるでしょ!?
「なんで神戸なんですか?大体、先生はお金なんか持ってないでしょ?」
ウロチョロと動くボロ雑巾に腹が立つ。
先生が自分の足元を黙ったまま指で差す。
その指先が示すのはETC車載器。
クレジットカードならあるってか!?
ハンドルを握る手がわなわなと震える。
「亜子が帰ったから…。」
拗ねた声がする。
「帰ってませんってば…。」
「帰ったろ?」
「寮には着替えを取りに寄っただけです。」
「俺は帰ったと判断した。」
「だって、先生は寝てたじゃない。」
「寝てねえ…。」
先生がふてくされたまま窓の外を見る。
私が黙って帰ったから怒ってる。
しかも犯罪者みたいに広域手配を受けて行動を制限されたから片桐さんを嫌ってる。
「そんなに神戸の肉まんが食べたかったの?」
片桐さんとデート気分で先生を探してた自分が先生に悪い事をした気分になるから聞いてみる。