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メンタリズムな恋…
第6章 先生、繋がってます
「うーっ…。」
先生に振り回されただけの私はふてくされる。
「片桐みたいにくだらない事してないで、さっさと風呂に行けよ。」
先生は呆れた顔を私に見せる。
「だって…、先生…、何処にも行かない?」
また逃亡されたら間違いなく泣いちゃう自分が想像出来る。
「……。」
気に入らない質問には無言になる。
「約束して…。」
先生のスウェットを掴んで懇願する。
「わかったから風呂に行け…。」
先生が諦めてため息を吐く。
「本当に?」
「約束してやる。」
「本当に?本当に?」
「しつこいぞ。」
鋭い瞳が私を睨む。
信頼関係を築きたいなら、まずは自分から相手を信用してやれ。
それが心理学の基本だと考える私は先生を信用する事にする。
「お風呂して来ます…。」
リュックから着替えを出してお風呂に行く。
高級ペントハウスのバスルームは伊達じゃないと思える広いバスルーム…。
ゆったりと全身で浸かれる湯船に沈みながら今日の事を考える。
片桐さんにデートに誘われた。
でも先生は片桐さんが嫌い。
先生が私にキスをした。
先生は私が好きだから片桐さんが嫌いなの?
それは違う。
私と出会う前から先生は片桐さんを嫌ってた。
先生は私の知らない過去を知ってる。
結局、その事も聞きそびれちゃった。
先生に…。
ちゃんと聞かなくちゃ…。
そう思うのに…。
欠伸が出て瞼が重くなる。
疲れてるなぁ…。
このお風呂…。
やたらと気持ちいいし…。
ふわふわ気分に身を委ねる。
「亜子…。」
呟くような声がする。
「亜子っ!」
今度ははっきりとした先生の声がする。