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メンタリズムな恋…
第7章 先生、逃げられないよ
本当は朝っぱらからと文句を言うつもりだった。
だけどお母さんの焦る声を聞いちゃうと逆に心配で文句なんか言えなくなる。
「どうしたの?お母さん、こんな朝早くに家に何があったの?」
『あのね、落ち着いて聞いてね。』
「お父さんに何かあった?」
『お父さんは大丈夫。でもね、夕べ、うちに泥棒が入ったのよ。』
「泥棒っ!?」
あんな閑静な田舎町に泥棒とかかなりのビッグニュースだと私もお母さんのように焦る声を出す。
「泥棒って…、お母さんは無事?お父さんは?何を取られたの?」
『大丈夫よ。亜子…、落ち着いて…、何も取られてないわ。』
「何も?」
『そうなの…、何も取られなかったのに、ただ貴女の部屋だけが荒らされててね…。』
「私の?」
『だから心配になって…、亜子を恨んでるみたいな荒らし方なのよ…。』
私を恨んでる?
背筋に冷たいものが流れ落ちる。
『もしもし?亜子?聞いてる?』
お母さんの声がする。
「うん…、聞いてる。もう少し詳しく教えて…。」
手の震えを止めようとして携帯をスピーカーに切り替えお母さんの説明を聞く。
いつの間にか先生が私に寄り添い、そっと私の肩を抱き寄せてくれる。
夕べはいつものように戸締まりをしてお母さんとお父さんは自分達の寝室で寝た。
明け方に物音に気付いたのはお母さん…。
うちは2階建ての小さな家…。
1階はリビングやキッチン、お風呂やトイレ。
2階に両親の寝室と私の使ってた部屋がある。
物音は私の部屋からする。
お母さんは隣りのベッドに眠るお父さんを静かに起こし、その怪しげな物音の確認をする。
明らかに誰かが居るとお父さんが言う。
そのままお父さんとお母さんは寝室の鍵を掛けて閉じ篭り警察に通報した。