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メンタリズムな恋…
第7章 先生、逃げられないよ
警察はすぐにやって来た。
それでも物音は警察が来る前に終わってしまう。
警察が来てからお父さんとお母さんは家の中の確認をする。
リビングもキッチンも荒らされた形跡がない。
ただ私の部屋だけが窓を割られ荒らされた。
『だからね。亜子…、亜子は大丈夫?』
お母さんは私を心配してる。
大丈夫も何も…。
「大丈夫よ。今は警察の関係者と居るし…。」
『警察の関係者って?亜子は何をしてるの?』
「何もしてないよ。河合教授の紹介で警察に協力するアルバイトをしてるだけだよ。」
『そのアルバイトのせいで誰かに狙われてるの?』
お母さんはパニックになってる。
実家の方に駆け付けた警察の人が部屋の荒らし方から見て私のストーカーかもしれないと言ったからだ。
「とにかく、そっちに行くから…。」
『帰って来るの?』
お母さんが怯えてると感じる。
先生の方を見れば先生が強く頷く。
「帰るよ。だから心配しないでね。」
私がそう言えばお母さんが少し安心してくれる。
本音を言えば怖くて堪らない。
身に覚えのない出来事が多過ぎる。
おかしな過去の記憶…。
突然、現れたストーカー…。
3日前までは普通の学生で沙莉奈とカフェでランチを楽しむだけが幸せだったのに…。
全てが遠い過去の出来事であり幻のように私の前から掻き消される。
今、私に残る現実は…。
先生が私の頭を軽く叩く。
「着替えて来い…。」
いつものような呟きでなく力強い言葉。
「はい…。」
今、確かなのは私が先生の助手であり先生が私を助けようとしてくれてると感じる事。
この人が居る限り私は大丈夫…。
その感覚だけは私の中に強く根付く。