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メンタリズムな恋…
第7章 先生、逃げられないよ
まるでデートに出掛けるみたい。
ふふふと小さく笑っちゃう。
「行って来ます。」
ポカンと口を開けて私達を見てる警護の人にそう言ってエレベーターに向かう。
「いちいち、あいつらに挨拶とかすんな。」
エレベーターに乗り込んだ瞬間に先生が拗ねた声を出す。
「だって、ずっとあそこに立ってるだけの仕事って可哀想ですよ。」
「片桐が命じた仕事だからな。文句なら片桐に言ってやれ。」
「先生がふらふらと居なくなるせいでしょう?」
「だから亜子をちゃんと連れて来てる。」
私の実家に行くのに先生は私の手を握って私を連れて来てるとおかしな自論を言う。
「行き先は私の実家だよ。」
「実家でも神戸でも亜子を連れてけば文句を言われる覚えはない。」
先生が笑ってる。
何かが吹っ切れたように今朝の先生は機嫌がいい。
「お腹…、空いてないの?」
冗談で聞いてみる。
「亜子は腹が減ってんのか?」
駐車場で車のエンジンを掛ける先生が聞き返す。
「大丈夫です。」
今は大和 幸之助。
ボロ雑巾とは大違い…。
少しづつ先生との距離が縮まってるのがわかる。
先生の運転でホテルを飛び出した。
まさに飛び出すだ。
「先生っ!もっと安全運転で…。」
「高速だろ?」
「日本は高速でも速度制限があります…。」
「そうだっけ?」
先生がアクセルを緩める。
一般道路では普通の運転だった先生が高速道路では人が変わったように加速する事を知る。
アメリカじゃ制限がなかったから…。
「そんなに急がなくても大丈夫ですよ。」
安全運転を先生にお願いする。