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メンタリズムな恋…
第7章 先生、逃げられないよ



「お母さん…、心配してんだろ…。」


先生が拗ねた声で呟く。


「でも事故をしたら意味がないよ。河合教授はいつもそう言うし…。」

「亜子は実家から遠いのに、なんで河合教授の講座をわざわざ選んだ?」


先生が私を知ろうとしてる。


「小さい頃、とても素敵なメンタリストをテレビで観たから…。」


多分、小学生だったと思う。

そのメンタリストはおじさんでFBIのアカデミーで犯罪心理学を教えてる。

そんな凄い人のドキュメントTVを観た。


「その時に初めてメンタリストという存在を知ったの。」


自分もそんな風に人の役に立ちたいと夢を見た。

日本で最高クラスと言われる河合教授の元で学ぶ。


「けど…、一つだけわかった事があります…。」


私はそこでため息を吐く。


「わかった事?」


先生が私の話を促す。


「メンタリストになるには生まれつきの才能も必要だって事。それに自分が本気で心配したり大切に感じる人には薄っぺらなメンタリズムは通用しないって事を河合教授から教わったの。」


私のメンタリズムは先生に通用しない。

だから私はストレートなまま先生に答える。


「そうか…。」


先生が私の頭をくしゃくしゃと撫でる。

褒めてくれてる。

助手として先生の教えをちゃんと理解出来てる事が嬉しいとか思う。

いつか…。

貴方に聞きたい事がある。

貴方がアメリカに帰る前に…。

それまでは私は先生の優秀な助手でありたい。

実家に向かう道のりの間、冷たい恐怖よりも先生の温もりの方が強かった。

私に怖い事は起きない。

先生の言葉を自分の中で繰り返す。

自己暗示…。

メンタリストとして私はそれを実行する。


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