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メンタリズムな恋…
第7章 先生、逃げられないよ
「うん…、大丈夫。」
お父さんに笑顔を向ける。
先生が居るから…。
私に怖い事はない。
「そうか…。」
お父さんがホッとして腰が抜けたようにリビングのソファーに座り込む。
「現場を見せて頂けますか?」
はっきりとした口調で先生がお母さんに聞く。
ボロ雑巾ではなく捜査官としての態度。
「まだ警察の方が色々と調べてますけど…。」
お母さんが不安そうに2階を見上げる。
鑑識の人が指紋や遺留品を調べてるらしい。
「亜子…、上がるぞ。」
私にそう言って先生が2階への階段を登り出す。
私も先生について行こうとした。
「現場に民間人を入れる事は出来ませんよ。」
耳慣れた声が階段の上からする。
「片…桐さん…?」
その驚きを隠せない。
先生が露骨に嫌な表情をして片桐さんを睨んでる。
何故?
彼は本庁の人…。
こんな田舎町の泥棒騒ぎに駆け付けるはずがない。
「荒らされたのは亜子の部屋だろ。なら亜子は被害者本人だ。」
「それでも鑑識捜査が終わるまでは立ち入り禁止区域です。現場保存の鉄則は日本でもアメリカでも同じですよね?」
「今更、鑑識捜査が必要か?」
「犯人特定には必要です。日本の警察は貴方のプロファイルだけで勝手な捜査は出来ませんから。」
先生と片桐さんが言い合いをする。
その会話はまるで今回の犯人を知った上での会話に聞こえる。
いや、先生のプロファイルと片桐さんは言った。
片桐さんも先生もこの泥棒がここに来る可能性を知ってたかの口振り…。
「もしかして先生には私の部屋を荒らした人が誰なのか、わかってたの?」
先生の背中を掴んで聞いてみる。