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メンタリズムな恋…
第8章 先生、帰るから待ってて



警視庁…。

前回とは違う応接室のような部屋に案内された。

片桐さんが私の前にある小さなテーブルにミネラルウォーターのペットボトルを置く。


「大丈夫ですか?」


私を心配する声。

先生のように私はその応接室のソファーで膝を抱えて小さく踞る。


「ゆっくりでいいからね。」


片桐さんの手が私の肩に乗る。

警察としての言葉じゃなく片桐さん個人の言葉で私を慰めてくれる。

少し顔を上げれば優しく私を見る白馬の王子様の爽やかな笑顔がある。


「話を…。」


続けて下さい…。

見えない恐怖と戦う為には全てを知りたいと願う。

片桐さんは迷った顔をする。


「僕には資料にあった内容しかわかりません。」


そう前置きをした片桐さんが事件の全容を語り出す。

その日、私はお母さんと大型モールのあるスーパーへ出掛けた。

理由はお父さんの誕生日の準備の為…。

ほんの少しお母さんが私から目を離した隙に私は居なくなる。


「お母さんの通報でまずは大型モール内での職員による一斉捜索が行われました。」


その2時間後には警察が駆け付ける事になる。

当時は防犯カメラなどの装備がなく、私は忽然とスーパーから姿を消した子の扱いに…。

その日の深夜2時…。

事件は急変する。

私の行方不明から24時間は経っておらず公開捜査には至ってない事件のはずだった。


「自宅から40km離れた郊外の派出所にある少年が3歳の幼女を連れて現れました。」


それが大和 幸之助だと片桐さんが言う。

先生がその女の子は捜索願いが出てる子だと言い、私を拐った人物の話をしたという…。

そうやって私は無事に保護される。


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