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背徳の嗜好
第12章 女の悦び

 美紀の人並外れた洞察力に掛かれば、男の浅はかな考えなど、
手に取る様に解ってしまうのだろう…

 「…ご主人はナニも考えずに、仰向けに寝て頂いてるだけで大丈夫ですよ…」

 「なっ…ね、寝てるだけって…」

思わぬ美紀の勧めに、私は困惑し、そして…次第にジワジワと不快感と憤りを憶える…

まさか、前戯の時に引き続き、挿入時においても美紀がイニシアチブを取ろうというのか…

 「気を悪くなさらないで下さいね…正常位ですと…男性が前傾の姿勢になることで、
射精し易くなってしまうんです…ですから、ご主人とのセックスを長く愉しむ為にも、
最初は私がご主人の上になって、挿入してイキますから…」

 「…」

こうして、美紀に理論づけて諭されると…ぐうの音も出やしない…

男の固定概念を覆す、美紀の慈愛に満ちたイキな計らいは、
私のプライドを傷付けるどころか…逆に、
金の針の如く、石化した身体を解きほぐし、心の重荷をスッと楽にしてくれる…

確かに、緊張と昂奮でガチガチ状態の私が、ただガムシャラに腰を振ってイクよりかは、
経験豊富な美紀が手綱を握り、騎乗位となって自分の好きな様に動いてくれた方が、
私も余計なコトを考えず、少しでも長く持たせることに集中できるだろう…

反論の余地など何処にもない…

 「…お、お任せします…」

私はその美紀の思し召しを有難く、素直に受け挿れ、ベッドの上に横たわったのだった…

 「…」

迫りくる美紀との挿入の時を前に、極度の緊張で縮こまってしまいそうになる中…

 「…では、ご主人…失礼させて貰いますね…」

恥じらいのあるその優美な女の所作は、
今まで奈央を責めていたドSの淫乱な姿とは全く別人の様に、
美紀の品の良さを際勃たせる…

両手で女陰を覆い隠しながら、美紀の細長い美脚が私の股間の上をスマートに跨ぎ、
膝勃ちとなって優しく微笑みかけていた…

こうして下から見上げる体勢になると…美紀のその造形美は、より一層映え、
まるで雲の上にいる悟りを開いた女菩薩かの様にも見えてくる…

 「…少し元気がなくなちゃったみたいですね…」

緊張で萎みかけた私のモノを見て、愛しむ様に…両手の中へ誘い込んだかと思いきや…

 「アッ…み、美紀さん…アアッ…」

柔らかくしっとりと濡れた美紀の温もりに包み込まれ、
私は女の様な切ない声を上げていた…
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