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女教師と男子生徒、許されざる愛の果てに~シークレットガーデン
第5章 禁域

本井が立っていた。眼がねのフレームの向こうの細い瞳からは何も窺えない。
何とも情報の早いことだ。またしても校長室のドアに貼り付いて校長とのやりとりを聞いていたのかと思いたくなるが、流石にそれはないだろう。
「はい」
心優は無難に頷いただけにとどめた。
「幸せになって下さい」
既に心優が結婚退職するということも校長経由で知っているに違いない。本井にしては至極まともなことを言うと思ったが、もちろん口には出さないだけの分別はあった。
心優は本井の眼を見つめた。
「本井先生、くどいかもしれませんが、最後にこれだけは言わせて下さい。この世の中に屑と呼んで良い人は一人もいません。特に未来のある子どもたちは何かしら悩みや問題を抱えているのは当たり前です。成長途中の子どもだからこそ、未熟なんです。その子どもたちを良識ある大人になれるように育ててゆくのが教師の使命だと私は思っています。どうかこれからも現場に残る本井先生は子どもたちを温かい眼で―我が子を慈しむ親のような心でその成長を見守って上げて下さい。これが私からの最後のお願いです」
何とも情報の早いことだ。またしても校長室のドアに貼り付いて校長とのやりとりを聞いていたのかと思いたくなるが、流石にそれはないだろう。
「はい」
心優は無難に頷いただけにとどめた。
「幸せになって下さい」
既に心優が結婚退職するということも校長経由で知っているに違いない。本井にしては至極まともなことを言うと思ったが、もちろん口には出さないだけの分別はあった。
心優は本井の眼を見つめた。
「本井先生、くどいかもしれませんが、最後にこれだけは言わせて下さい。この世の中に屑と呼んで良い人は一人もいません。特に未来のある子どもたちは何かしら悩みや問題を抱えているのは当たり前です。成長途中の子どもだからこそ、未熟なんです。その子どもたちを良識ある大人になれるように育ててゆくのが教師の使命だと私は思っています。どうかこれからも現場に残る本井先生は子どもたちを温かい眼で―我が子を慈しむ親のような心でその成長を見守って上げて下さい。これが私からの最後のお願いです」

