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女教師と男子生徒、許されざる愛の果てに~シークレットガーデン
第5章 禁域
 本井の細い眼がわずかに細められた。普段から表情に乏しい本井だが、笑っているようにも見える。
「難しそうですが、前橋先生のおっしゃることは忘れないようにはするつもりです」
 それが本井の精一杯の言葉だったのだろう。心優は深々と頭を下げた。
「ありがとうございます」
 本井は軽く頷き、一礼して自分の席に戻っていった。心優は職員室の入り口付近に掛かった時計を見上げた。針は午前八時二十分を指している。これから職員朝礼、次いで一時間目の授業だ。今日の一時間めは担任の三組だ。そういえば、R高校に来て初めての授業が二年三組の古典だったことを今更ながらに思い出す。
 あの日は自己紹介に変えたのだった。あの時、心優は夫となる長瀬大翔に出逢った。あれからもう七ヶ月、短いようでもあり長いようでもあった期間が本当に終わろうとしている。
 職員朝礼がいつもどおりに終わった後、心優は教師生活最後の一日を過ごすために、最初の授業へと向かった。
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