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女教師と男子生徒、許されざる愛の果てに~シークレットガーデン
第3章 もつれ合う心
「―はい」
頷いて一礼して校長室を出るも、心優の心は悔しさで一杯だった。あの英語教師の村田君子が校長に告げたのは間違いない。もっとも、校長の言うように、教師はいつ誰に見られても疚しくない行動を取るべきだ。その点で、心優は取り返しのつかない失態を犯した。
確かに職員用の女子トイレに男子生徒と二人きりでいるところを見られたのはまずかった。あの場合、青田が去った時点ですぐに廊下へ出るべきだった。自分の配慮が足りなかったのだ。
職員室に戻る気は失せていた。戻ったところで、あの村田の顔を見なければならない。今は到底、彼女と顔を合わせる気にはなれなかった。村田君子はもう六年も前からR高校に勤務している。歳も三十五歳と心優よりは十以上も年上だ。迂闊に楯突くわけにはゆかない。
村田は二十代後半で結婚し、会社員の夫と二人暮らしだという。子どもはいないと聞いていた。こんなことを言いたくはないけれど、狐のようにつり上がった細い目は銀縁の目がねともあいまって、きつい印象を与える。R高校の教職員は男性が六割、女性が四割と男性の方が若干多いせいか、女性教諭たちは皆、世代を超えて仲が良く、結束力も固い。そんな中で村田だけがいつも口数も少なく、孤立している感じだ。
頷いて一礼して校長室を出るも、心優の心は悔しさで一杯だった。あの英語教師の村田君子が校長に告げたのは間違いない。もっとも、校長の言うように、教師はいつ誰に見られても疚しくない行動を取るべきだ。その点で、心優は取り返しのつかない失態を犯した。
確かに職員用の女子トイレに男子生徒と二人きりでいるところを見られたのはまずかった。あの場合、青田が去った時点ですぐに廊下へ出るべきだった。自分の配慮が足りなかったのだ。
職員室に戻る気は失せていた。戻ったところで、あの村田の顔を見なければならない。今は到底、彼女と顔を合わせる気にはなれなかった。村田君子はもう六年も前からR高校に勤務している。歳も三十五歳と心優よりは十以上も年上だ。迂闊に楯突くわけにはゆかない。
村田は二十代後半で結婚し、会社員の夫と二人暮らしだという。子どもはいないと聞いていた。こんなことを言いたくはないけれど、狐のようにつり上がった細い目は銀縁の目がねともあいまって、きつい印象を与える。R高校の教職員は男性が六割、女性が四割と男性の方が若干多いせいか、女性教諭たちは皆、世代を超えて仲が良く、結束力も固い。そんな中で村田だけがいつも口数も少なく、孤立している感じだ。