この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
独占欲に捕らわれて
第8章 独占欲に捕らわれて
「えぇ、本当に。だから驚いちゃった。……でもね、ここ最近全然呼び出しがなくて……」
千聖は目を伏せ、グラスのふちを指先でなぞる。
「寂しいのかい?」
義和は茶化すように言うと、サラミを頬張った。
「まさか! むしろ静かでいいくらいよ。……だけどね、ちょっと気がかりなことがあるの」
千聖はつられるようにサラミを口に投げ入れた。

「気がかり? それは、どんなことだい?」
「紅玲はね、親にまともに愛されなかったの。お母様の顔は見たことないし、お父様は彼を家政夫みたいに扱ってたって……。女性にも恵まれなくて、酷い振られ方をしたらしいの。ちょうど1週間前、そんなふたりに会ったんですって……」
「それは……心配だね……」
義和は眉をひそめながら、グラスを空にした。

「ひどく落ち込んでいたわ……。カシオレ1杯で赤くなるくせに、レディーキラーのカクテルを何杯も呑んでた。ホテルに引っ張りこんで、水を飲ませたりして、大変だったわ……」
千聖がやれやれと肩をすくめると、義和は小さく笑った。
「ちょっと、どこに笑う要素があったのかしら?」
「ごめんごめん、話が面白いと思ったわけじゃないよ」
義和はむくれる千聖をなだめるように、微笑みかける。

「じゃあ、どういうこと?」
「千聖ちゃんは、紅玲くんのことが好きなんだなって」
温かい目を向けられ、千聖は顔をしかめる。
「それはありえません」
キッパリ言うと、義和は吹き出した。

「ムキになって否定しちゃって……。それこそ好きだという証拠じゃないかな?」
「わけが分からないわ……」
千聖はそっぽを向きながら、思考回路を回した。

紅玲は心配になるほどのお人好しだ。そのお人好しが災いして、女性に利用されて捨てられることもあった。実際千聖も、紅玲のお人好しに助けられている。
だが好きかどうかとなれば話は別だ。借金の肩代わりに感謝し、過去に同情はするが、恋愛的好意とはまったくの別物である。
/111ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ