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ソレは、二十歳になってか……ら……?
第4章 約束(後日談)
ほんとは、二十歳になったとき、お酒のことより先に、思った事が有った。
これで、親の許可が無くても結婚出来るんだ、って。
光はそんなこと、全然気付いても居ないみたいだったけど。
「それに、お仕事の事も有りますし」
「今更でしょ。もうメンバーに既婚者が居るんだもの、増えたってどって事無いわ」
「……それとは、ちょっと……性別、が……」
ヒカリさんの場合は、歌姫から新郎になるんだもん。
単純に「結婚しました、おめでとう」じゃあ済まないと思う。
「良いんじゃない?一生女のフリも、させられないでしょ」
橋本さんは軽くそう言いながら、クッキーを一枚取って齧った。
「三十越えたら、歌姫やるのもキツいだろうし?本人が好きで入った業界でも無いし、辞めて路頭に迷う様な事だって無いだろうし……実は男でしたって言っちゃって、後は成り行き任せでも……って、引っ張り込んだワタシが言うのも無責任かしらね」
「いえ……」
無責任って事は、無いけど。
私のワガママで、そんなことになっても……ほんとに、いいのかな……。
「文化祭のおふざけが、こんなに続いて、こんなに大きくなるなんて……ね?冗談から駒だわねえ」
文化祭からこうなるまでに、いろんなことが有ったって、ご実家に行った日の夜に、光が話してくれたっけ。
……冗談、か。
『るり、出来ちゃって。俺と、結婚して』
酔っ払った時の憶えてない約束だって、冗談みたいなものだよね。
『出来たら俺、育てるし。いっぱい産んで』
朝起きたとき、守ってねって、むりやり言ったけど。
『一緒に行こ。俺と、ずっと』
憶えてない約束って、有効なのかな……。