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ソレは、二十歳になってか……ら……?
第4章 約束(後日談)
「聞いて頂いて、ありがとうございました。すっきりしました」
「良いの?大丈夫?」
「はい。……とりあえず、お酒を飲ませない様に気を付けます。本人も反省してるみたいですし……結婚とか、妊娠は……学生の間に、これからどうするか、ゆっくり考えます」
飲まなかったら、妊娠も、結婚も……実現することはもちろん、光との間では、話題に出ることだって無いだろうし。
「るりちゃん?」
「はい」
「これは、勝手なお願いだけど……もし気をつけてても妊娠して、アナタがそのとき嫌じゃなかったら……光と結婚してやって、産んで貰えないかしら」
「……でも」
「お願い。光のバカがなんて言っても、世間がなんて言っても、ワタシが全部なんとかするから。ウチの奥さんも、そう言うと思うし」
そんなことになったら。
そんなことになるなら。
……きっと、すごく、幸せだろう。
「……はい。ありがとうございます」
「ゴメンね、無理に。光より先に、プロポーズしちゃったみたいになっちゃったわね」
「いいえ。……嬉しいです」
光との約束は忘れちゃってる冗談かもしれないけど、橋本さんとの約束は、ちゃんとした約束だ。
*
「……もう夜みたい……」
橋本さんにお礼を言って、またいつでも来てねって送り出されて、外に出た。空を見たら、思ったよりも薄暗くなっていた。
「あ」
オフにしていたスマホの電源を入れると、光からメッセージが入っていた。
「お疲れ!今から帰る。ご飯なに?」
「……私も、今から帰ります……何が、食べたい?……」
そう送って、打ち込みが得意じゃない光の返事を待たずに、スマホをバッグにぽんと仕舞う。
先のことは分からないけど、今はおんなじ家に帰って、ちゃんと一緒に居られてる。
これだけだって、奇跡みたいな幸せだから。
忘れてる約束を無理に思い出させたりして、今を壊したくなんかない。
ふわふわした夢みたいな約束と、優しくてあったかい約束を胸の中でぎゅっと抱いて、私は一人で家路に付いた。
【後日談終わり】