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ひと夏の恋……そして……
第5章 運命のいたずら
『俺が真緒に一筋だったみたいに、真和もちーちゃんに一筋なんだなって思ってさ。まぁ、俺の真緒への想いの方が重くて深いけどな』
「もっ、もう何言ってるのよ。電話越しで」
『照れるなって。本当の事だろう?ちゃんと伝わってるだろう?』
「伝わってるけど……」
『伝わってるけど何だよ』
電話の向こうでむくれているのが手に取るように分かるほど、私と夏樹は心が通じていた。
『何笑ってるんだよ』
「笑ってなんかいないよ。ただ――電話越しで話してても夏樹の表情が手に取るように分かるから、ちゃんと気持ちが通じ合ってるんだなって思うとうれしいだけだよ」
正直に言葉にすれば、今度は照れている表情が目に浮かんだ。
『それは俺も同じだよ。真和の手を繋いでさ、幸せそうに笑っている真緒の顔が浮かぶよ。そして俺の言葉で恥ずかしがってる姿もな』
お互いに見えていなくても繋がっている心。
この一か月で積み上げた信頼関係。