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ひと夏の恋……そして……
第5章 運命のいたずら
「夏樹、早く帰ってきてね」
夏樹の声を聞いて夏樹との繋がりを感じてしまえば寂しくて言葉にしていた。
その言葉で困った顔をしているのも分かってしまうから困ったものだ。
「ごめん、無理なこと言って」
『いや、いいさ。俺だって早く真緒に会いたいからさ。けどごめんな。すぐに戻れなくて』
「夏樹が謝ることじゃないよ。友達と楽しんできてね。そして戻ってきたら……」
そこから先は恥ずかしくて言葉にできなかった。
だけどきっと伝わってる。
今の夏樹と私は繋がっているから。
その証拠に夏樹が言葉で示してくれた。
『いっぱい抱きしめて愛してやるよ。それまでお互いにさみしいけど我慢しような』
「うん、我慢してまってるね」
『ああ、待っててく――』
「あ~~わんちゃん!!わんちゃん泳いでる」
お互いに電話を切りづらくて未練がましく話していると、しゃがんで貝殻を拾っていた真和が海で泳いでいる犬を見つけたみたいで走り出した。