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ひと夏の恋……そして……
第5章 運命のいたずら
「ごめん、夏樹!真和がっ」
『わかってる。犬を見つけて走り出したんだろう』
真和の叫び声で全てを察した夏樹が笑いながら答えていた。
「うん、ごめんね」
『謝るなって、また電話するから、またな』
「うん、またね」
あれだけ切りづらかった電話を切って、走って行った真和を追いかける。
一目散に走っていく先には白い犬がボールを咥えて泳いでいる姿が目に入った。
犬好きな真和が飛びつくわけだと思いながら声を上げた。
「真和!待って!!走ると危ないから」
「わかってるもん」
そう言いながら振り返る。
だけど私が声をかけたタイミングが悪かった。
「真和!!前!前!!」
そう大きな声を張り上げても遅かった。
振り返りながら走っていた真和は、海を眺めて立っていた人にぶつかって弾き飛ばされてしまった。
それでも泣かない真和を男性が抱き起し、洋服についた砂を払ってくれていた。