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ひと夏の恋……そして……
第5章 運命のいたずら
「すいません。うちの子がぶつかってしまって」
慌てて駆け寄って、男性に頭を下げると、男性は顔を上げてにっこりとほほ笑んで気にしないでと言葉する。
「それより、僕は大丈夫だったかな?どこも痛いところはないかい?」
「うん。平気だよ」
にっこり笑う真和に男性はホッとしたように息を吐いて安心したような表情をみせた。
「よかった……それにしても僕、えいらね。泣かないんだ」
「うん。僕、男の子だから泣かないんだ」
男性に褒められた真和は得意げに話し、男性は真和の頭に手を置いて撫でていた。
「僕は強いんだね」
「うん。僕は強いの。だってね。僕がね。ママを守るんだ。だから強くならなきゃっ」
両手に力を入れて力む真和をやさしい瞳で見つめる男性。
その瞳があまりにも優しくて、一粒の涙が砂の上に落ちて消えた。