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ひと夏の恋……そして……
第5章 運命のいたずら
「真和くんって言うのかい?かわいい名前だね」
「うん。僕、真和っていうの。ママのお名前とパパのお名前の文字をひとつずつ貰ってるんだよ」
「そうか……真和くんはママとパパに愛されているんだね」
「う~ん……でもね。僕、パパに一度も会ったことないの。遠いところにいるんだって」
少しシュンとする真和は泣きそうな顔をする。
その表情を見て何かを感じた男性が、真和を難なく抱き上げた。
「だから真和くんはママを守ってるんだね。パパの分まで」
その言葉に小さくうなずいた真和に、すごいすごいと誉め言葉を並べて真和の心を和らいでくれた。
真和は真和で何かを感じ取っているのか、初対面のはずなのに男性に抱きついて離れようとしなかった。
「申し訳ありません。傷つけるような事を言ってしまって……」
真和を抱いたまま律義に謝る男性に慌てて大丈夫ですと伝えると、よかったと……やっぱり懐かしい笑顔で笑ってくれた。
この笑顔を私は忘れたことがなかった。
少し大人になったと感じはするけど、間違えるはずがない。
彼は――