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ひと夏の恋……そして……
第5章 運命のいたずら

「どうしてですか??」

「一番の稼ぎ時ですよ。どこの宿も満室に決まってるじゃないですか!」

「ああ、そうか、そうですよね。本土に泊まって行き来するしかないですかね」

「行き来するんですか?」

「そうしないと、この島の良さが分からないですよ」

佐伯さんの言葉に呆れる西条さんはため息をつきながらも、宿を探そうとスマホを取り出した。

「本土の方もいっぱいだと思いますよ」

「本当ですか?」

「はい。本土の方にも海岸はありますし、朝早くにこの島に渡ってこられる人もいますので、宿はないかと思います」

私の言葉にがっくりと肩を落とす佐伯さんが少しかわいそうに見えた。
それにこんなにもこの島を知ろうとしてくれる姿勢に力になってあげたいとも思い、リゾート開発が実現するならこういう人にお願いしたいとも思い始めていた。
そしてなによりも佐伯さんは彼に似ていたいから。
このまま帰してしまいたくなくてある提案をした――……


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