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ひと夏の恋……そして……
第5章 運命のいたずら
「本当によかったんですか?」
布団を敷きながら、佐伯さんは何度も同じ言葉を口にする。
「こちらこそ、こんな場所ですいません」
「いえいえ。泊まる場所だけでも提供していただけたらどこでも大丈夫ですよ」
穏やかに話す佐伯さんは、シーツをかけるのまで手伝ってくれた。
寝る準備ができれば、少し飲みませんかと誘われビール缶を傾けて静かな夜を過ごすことになった。
初めて会った佐伯さんを家に泊めるなんて可笑しいのかもしれない。
分かっていても提案をしてしまった。
『よかったらうちに泊まりませんか?』
まさかそんな提案をされるとは思っていなかったふたりは驚いていたけど、島に泊まりたかった佐伯さんは喜んで申し出を受け取ってくれた。
泊まる場所も良い場所とは言えない。
さすがに同じ部屋で寝泊まりするわけにもいかず、佐伯さんの布団を敷いたのは、お店の2階だった。
叔母さんが健在の時は2階まで使って営業していたけど、人手が足りない今は1階だけの営業にして2階は空き部屋となっていた。