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ひと夏の恋……そして……
第6章 忘れられない夏

『真緒?バイト終わったのか?』

夏樹の声を聴いた途端に私は叫んでいた。

「夏樹!!!和泉が!和泉が!」

叫ぶ声に、砂浜を歩いていて人たちが何事かと足を止めて遠巻きに私たちを眺めていたけど、そんなことを気にしている余裕もなく夏樹に助けを求めた。

『落ち着けって!和泉がどうしたんだ。てか、今どこにいる』

「すっ砂浜……呼吸も荒くてっ、ぐったりしてて、それで、それでっ、」

動揺している私は今の状況を上手に説明できなかった。
どうにかして今の状況を説明しようとしていると、私に寄りかかっていた和泉が私の手からスマホを取って話を始めた。
だけど途切れ途切れの言葉は、和泉の辛さを物語っている。

「ごめんね。はしゃぎすぎちゃった……僕たち濡れたままだから何か拭くもの、持ってきてくれたらありがたいかな……うん、真緒と待ってるから、ごめんね、面倒かけて」

「和泉……」

「大丈夫だよ、すぐに来てくれるって、それまでもう少しこのままでいさせてね」

そう言葉にして私に体重を預けた和泉は目を閉じて深く深呼吸を繰り返して夏樹が来るのを待つだけだった。


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