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ひと夏の恋……そして……
第6章 忘れられない夏
「身体が弱いんだ。あいつ……」
お互いが何も話さず沈黙が続く中、夏樹はそう言葉にした。
「和泉、暑いのに長袖着てるだろう?あんまり直射日光とかダメなんだ。ずっと外にいると具合が悪くなるって言うか、今日みたいになってさ。一度、救急車呼ぶ程大事になったこともあって、ぐったりしてる和泉みたらその時の事思い出して真緒に怒鳴ってたんだ。ちゃんと話しておかなかった俺が悪いのに、ごめんな」
本当に申し訳なさそうに頭を下げる夏樹を見て、膝の上でギュっと握りしめている手に自分の手を添えた。
「今回は救急車呼ばなくて大丈夫なの?」
「それは大丈夫だと思う。それに救急車呼んだら家の方に連絡が行くから嫌がるんだ。せっかくここで楽しくやってるから水を差したくもないからさ。」
「そうなんだ……」
和泉も私と同じで家族に良い想いを持っていないのは分かっていたし、お互いに何かから逃げてここにきているのは知っていた。
私も高校一年の時に無理やり連れ戻されたことがあり、その時の気持ちを分かってるだけに夏樹が取った行動が正しい事だけは分かる。