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ひと夏の恋……そして……
第1章 進みだした時間
夏樹に気持ちを伝えられて数週間が過ぎた。
あれから何も進展はない。
いつものようにお店に顔を出してくれても態度は変わらなかった。
だから私も敢えて何も伝えてはいない。
まだ気持ちの整理がついていないというよりは、どう接していいのか分からないというのが本当のところ。
恥ずかしい話、24歳にもなって人とつきあうという事がどんなことなのかピントこない。
今の関係からどう変わるのか分からなかった。

「ねぇ、ママ?」

いつものように真和を寝かしつけようと本を読んでいると、私の声を遮って話し出した。

「僕がね。キャンプとかね。まだ行った事ないって言ったらね。なつ兄ちゃんがね。連れて行ってくれるって!!指切りげんまんもしたんだよ。」

その表情はキラキラと輝いていた。

「でねでね。かぶとむし捕まえてくれるって約束もしたんだよ。あとねあとね」

一生懸命に言葉を紡ぐ。
父親のいない真和のために、夏樹は気を使って私ができないことをやってくれる。


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