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ひと夏の恋……そして……
第7章 揺れ動く私の心
「どうしたの?」
心配する和泉の声に顔を上げると、振り向いていた和泉は驚いたように目を見開いていた。
どうしたのかと思っていると、和泉の手が伸びて頬に触れた。
「どうして泣いてるの??」
和泉の言葉に、頬に涙が伝っているのを感じた。
「真緒??」
やさしい声音で聞かれると、ますます涙があふれ出る。
「言ってくれないと分からないよ」
「和泉がっ、私が無理をさせたから苦しんでる。楽しい夏休みのはずなのに……ごめんなさい」
思っていることを言葉にした。
謝って済む問題じゃないのはわかってるけど、辛そうにする和泉に申し訳ない気持ちだけが膨れあがる。
「そっか。僕のことを心配して泣いてくれてるんだ。でもね。これは真緒のせいじゃないんだよ。自分でセーブしなきゃいけなかったことだから気にしないで」
心優しい和泉は自分の責任だと言い張り決して私が悪いとは言わない。
短い時間だけど、和泉がどういう人間なのか分かっていた。