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ひと夏の恋……そして……
第7章 揺れ動く私の心

「夏樹はお兄ちゃんみたいな存在だよ。夏だけでもここに居ることができるのは夏樹のおかげで、だから……私の恩人なんだよ」

「そうなんだ。僕の勘違いなんだ……」

「うん……最初に会った時も、勘繰るなって夏樹言ってなかった?」

そう言葉にして、少し気持ちが落ち込んだ。
夏樹も今の私と同じで、和泉に私のことを聞かれて彼女とは紹介せず勘繰るなと笑ってごまかしていた。
それは恥ずかしがってのことなのか、それとも……

「そっか、僕の勘違いか――」

和泉は小さい声で呟き最後の方は聞き取れなかったけど、どこかホッとしているように見えた。
それからお互いに言葉なく、和泉の身体を拭いた。
拭き終わるとシャツを着た和泉はすっきりした顔をして、もう一度ベッドに横になった。
タオルケットをお腹の辺りにかけてあげると、その手を握られ驚く私に和泉は心許ない顔をする。

「ごめんね。少しの間だけ握っていていい?」

「うっ、うん……」

心細いんだと思い頷くと、私の手を握り締めたまま目と閉じた。


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